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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(あ)2529号 決定 1953年4月25日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人高橋義次、同保坂治喜の上告趣意は、判例違反を主張するけれども、原審において主張せずその判断を経ていないのであるから上告適法の理由とならない。のみならず、収賄罪は公務員が職務に関し賄賂を収受するによって成立する犯罪であって、公務員が他の職務に転じた後、前の職務に関して賄賂を収受する場合であっても、いやしくも収受の当時において公務員である以上は収賄罪はそこに成立し、賄賂に関する職務を現に担任することは収賄罪の要件でないと解するを相当とする。それ故前職と後職との間に職務上の関連があり且つ後者が優位的立場にあることを要するとの見解に立ち本件において収賄罪の成立を否定する論旨は採用できない。その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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